ゴミ屋敷の火事で隣家がもらい火、これって賠償されるの?されないの?
こんにちは、双子のパパYuichiです。
「起こるべくして起きた」と言うんでしょうか。
でも、実際に被害に遭った隣りの家に住んでいた方は、その怒りの矛先をどこに向けたらいいんでしょうか?
今日は双子の記事とは直接関係ないことですが、もしも「隣家の火事が我が家に飛び火したら・・・」と言うことについて語ってみたいと思います。
ゴミ屋敷で起きた「起こるべくして起きた」悲劇
※画像は事件のものではありません。
愛知県のゴミ屋敷で火事は起きた
8月25日の夕方、愛知県の豊田市で起きた火事のニュースを見た人も多いんじゃないでしょうか。
内容はこんな感じです。文章はYahoo!ニュース(毎日新聞)より引用しています。
25日午後6時40分ごろ、愛知県豊田市保見ケ丘1の男性宅から出火。
隣接する民家にも延焼し、木造2階建て住宅2棟が焼けた。男性宅は屋外にまでゴミがあふれる「ゴミ屋敷」として近隣で知られ、市が7月から対策強化に乗り出していた。
男性のほか、住人は逃げて無事だった。愛知県警豊田署が出火原因を調べている。
同署によると、男性は出火後「家が燃えてしまった」と近くの交番に駆け込んだ。その後、西隣の家に延焼したという。
市によると、男性は2003年ごろから近くのゴミ集積所からゴミを持ち帰るようになり、10年と13年には行政代執行でゴミ計72.5トンを撤去した。その後もゴミがあふれる状況が続き、市は7月、庁内11課で構成する対策チームの結成を決めていた。【駒木智一】
毎日新聞さんより引用
火事のそのときの様子のニュース映像も載せておきます。
近隣の人はこれまでもボランティアで片付けをしていた!
近所の人はこれまでも、しかも火事当日もボランティアで片付け・清掃活動をされていたそうです。
ご近所さんの気持ちを察すると、何とも胸が締め付けられる思いになります。
近所の住民は「けさもボランティア皆で片付けていたからショックだった」「車から出火したこともあったが、これまではボヤ程度だった」と話しました。
メーテレさんより引用
出火原因は「蚊取り線香」!?
ニュースなどでは、この火事の出火原因は蚊取り線香だと言われています。
「ゴミ屋敷」ですから、蚊取り線香を置く場所も「ゴミの上」でしょう。そりゃ、火事になる可能性は高いですよね。しかも、ゴミ屋敷ですから蚊も多いでしょう。
蚊取り線香で虫よけしたい気持ちもわかります。蚊はデング熱も媒介しますから、刺されたくないですよね。
でも、近隣住民にとっては納得できないですよね。「だからゴミキレイにしろよ!」って言ったじゃないか!って普通に思いますよね。
家主の火事後の態度にも避難の声が。
印象的だったのが、家主の火事後のインタビューでした。
『起きちゃったものはしょうがない』
『仕方がない』
隣りに住んでいた女性は、家が全焼して大切な遺影も位牌も燃えてしまったそうです。
住んでいた大切な家も、大切な思い出も、全てなくなってしまったんです。
またTBSニュースでは、こう伝えています。
Q.どうしてごみがたまった?
「どうしてたまったて、ごみ拾ってくるからだろ」(「ごみ屋敷」の男性〔先月22日〕)
「風の流れによっては本当に臭い」(近所の人)
「虫・・・いろんな虫が発生して・・・」(近所の人)
このごみ屋敷、過去にもボヤ騒ぎが相次いでいました。
TBS NEWS iさんより引用
「地域の方も火事は心配されていたので、(出火の危険を)本人にうまく説明できなかったのかな」(豊田市 太田秀夫ごみ減量推進課長)
「ごみが片付いたとこなのに・・・」(半焼した住宅の女性)
「おじさん(火元の男性)がいる限り、もう住みたくない」
「ごみを拾っているヒマがない。家のまわりを片付けて、金もないのに暮らしていくので、裸一貫から生きていくんです」(「ごみ屋敷」の男性)
TBS NEWS iさんより引用
ところで、燃えてしまった隣りの家をゴミ屋敷の家主は賠償(弁償)してくれるの?
被害者にとって厳しい「失火法」の高い壁
燃えてしまった隣りの住人は何も悪いことはしていません。隣りのゴミ屋敷の住人の不注意で大事な資産(家、現金、その他)が全て無くなってしまい、これからどう生活していけばいいのか。
『家主に弁償してもらおう!』『それくらい当然だろ!』と思うはずです。しかし、日本には失火法と言う法律があります。
失火法とは?
不法行為責任の一般原則について規定した民法709条によれば、失火により他人に損害を与えた場合、失火者は、その失火につき「故意又は過失」があれば損害賠償責任を負うことになるはずである。
しかし、日本には木造家屋が多いという事情があったことから、この規定をそのまま適用すると失火者に過大な責任を課すことになることが問題とされた。
そのため本法が制定され、失火(軽過失)による不法行為の場合は民法709条を適用せず、「重大ナル過失」(重過失)がある場合のみ損害賠償責任を負い、軽過失による失火の場合は損害賠償責任を負わないとされた。
なお、「故意」の場合はそもそも「失火」に当たらないので本法は適用されず、本則である民法709条が適用される。
Wikipediaより引用
要は、「放火したり、明らかに火事になるであろうことをしない限りは、火事が起きて隣りの家に火が燃え移っても、火事を起こした者は賠償責任はない」と言うことなんです。
これって、隣り近所にしたらとんだトバッチリですよね。
じゃあ、今回のゴミ屋敷での火事は、この「重大ナル過失」(重過失)に当てはまるんでしょうか?
「重大ナル過失」(重過失)になるケース
具体的に「重大ナル過失」(重過失)を見ていきたいと思います。
タバコの火の不始末による失火
- 寝タバコをしていた(東京地方裁判所平成2年10月29日判決)
- わらが散乱している倉庫でタバコの吸殻を捨てた
- 強風と乾燥の警報がでているときに、建築中の木造家屋の杉皮の屋根にタバコの吸殻を捨てた(名古屋地裁昭和42年8月9日判決)
- セルロイド製品が存在する火気厳禁の場所で、吸いかけのタバコを灰皿に放置した(そこへセルロイド製品が落下し、火災発生)(名古屋高裁金沢支部昭和31年10月26日判決)
Wikipediaより引用
暖房器具の使用の不注意による失火
- 石油ストーブに給油する際、石油ストーブの火を消さずに給油した(石油ストーブの火がこぼれた石油に着火した)(東京高裁平成15年8月27日判決)。
- 石油ストーブのそばに蓋の無い容器に入ったガソリンを置いた(容器が倒れて火災発生)(東京地方裁判所平成4年2月17日判決)
- 電気コンロをつけたまま寝た(ベッドからずり落ちた毛布がコンロに垂れ下がり、毛布に引火した)(札幌地裁昭和53年8月22日判決)
- 石炭ストーブの残火のある灰をダンボール箱に投棄した(札幌地裁昭和51年9月30日判決)
- ニクロム線の露出している電熱器を布団に入れ、こたつ代わりに使った(東京地裁昭和37年12月18日判決)
- 火鉢で炭火を起こす目的でメチルアルコールを火鉢に注いだ(東京地裁昭和30年2月5日判決)
Wikipediaより引用
その他の不注意による失火
- 台所のコンロに、てんぷら油の入った鍋をかけたまま長時間台所を離れた(東京地裁昭和57年3月29日判決)
- 火災注意報等が発令されている状況下で、周囲に建物が建ち多量のかんな屑が集積されている庭で焚火をした(京都地裁昭和58年1月28日判決)
Wikipediaより引用
これを見ると、今回のゴミ屋敷の火事は「重大ナル過失」(重過失)に当てはまる可能性が高そうです。
そうなると、隣りに住んでいた方も弁償してもらえるのでしょうか?
それでも弁償されない可能性のほうが高い!?
法的には「弁償しなさい!」とされるかもしれませんが、実際は隣り近所の被害者にとっては、あまりに辛い現実が待っていることになりそうなんです。
実は、特にゴミ屋敷の住人などは弁償できるだけの資金力がないことが多いんだそうです。
その点について、「弁護士ドットコム」さんが詳しく伝えています。
ゴミ屋敷でろうそくで生活でとなると重過失がありそうですから、損害賠償請求は考えられると思います。 ただ、資力に問題があると思われますので、相手から実際に払ってもらえるかというと難しいかもしれませんね。
弁護士ドットコムさんより引用
万が一のときにも頼りになる火災保険
万が一、失火法によって相手に賠償責任が発生しない場合でも、相手に支払い能力がない場合でも頼りになるのが火災保険です。
火災保険は知っての通り、火事だけではなく水害や風災・雪災、物体の衝突などを補償してくれるものです。
火災保険は住んでいる地域、家の構造、面積などによって保険料が異なります。
また、保険会社によっても補償内容や保険料が異なりますので、複数の保険会社で見積もりを取って検討することをお勧めします。
余談ですが、「保険の見直し」は生命保険だけではないんですよ。
保険の見直しをする際には、生命保険だけではなく損害保険の知識や実際に取扱いのできるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談しましょう。
だって、損害保険を掛けるもの(家、車)も大事なあなたの資産でしょ?生命保険だけ、損害保険だけって人はやっぱりプロじゃないんですよ。
最後に
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ゴミ屋敷って全国にありますよね。そこの近所に住んでいる人にとって、今回の事件は他人事では済まされないですよね。
だって、いつ同じような火事が起こるとも限らないんですから。
もしかしたら、このゴミ屋敷にしてしまう人たちは特定の病気なのかもしれませんが、国・民間合わせて「どうにかしないといけない問題」なのかもしれません。
だって、これからもっと高齢化になったら、この問題はもっと増える気がしません??
でも、実際に僕らができる最低限のことは、火災保険で万が一のときに備えることだけかもしれませんね。
おしまい
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