認知症で車を運転したときの事故で自動車保険の補償はされるのか?自分の親がそうなったときの不安について考えてみた。
こんにちは、双子のパパYuichiです。
最近、テレビで「認知症の高齢者が起こす自動車事故」についてよく目にします。
認知症じゃなくても、事故を起こせば大変なケガを負ったり、最悪の場合には死亡事故にも繋がります。
考えてみたら、僕らの双子1号2号の誕生をあんなに笑顔で祝ってくれた両親も、もう70代に突入です。若い頃はあんなに怖い存在だった両親も、実家に帰るたびに小さく感じるようになりました。
ふと、テレビの内容と両親がリンクしたんです。
「そう言えば、ウチの両親は大丈夫かな・・・」
そこで、認知症と車の運転について、僕の仕事である「FP」目線で考えてみました。
認知症と車の運転、事故の危険性
2015年10月28日、宮崎市内で痛ましい事故が起きてしまいました。事故内容は認知症ネットさんから抜粋しています。
28日に宮崎市中心部で発生した軽乗用車の暴走事故について、事故の加害者となった73歳の男性が認知症の治療を受けていて、事故の2日前まで入院していたことが分かりました。
この事故歩道上を約700メートル暴走し、歩行者ら男女7人が死傷する事故が発生しました。
また、軽乗用車の記録などから、この車は28日に鹿児島を出たあと、最短距離で宮崎に向かわず、さまざまな場所を回りながら来たことや、事故の直後に加害者の男性が、「今、どこにいるかが分からない」という趣旨の話もしていたということがわかりました。
高齢者ドライバーの車での事故は市街地だけでなく、高速道路や踏切内でも起きています。以下はライブドアニュースより抜粋しています。
滋賀県彦根市内のショッピングセンターの立体駐車場3階で26日午後、同市内の無職男性(77)運転の乗用車が施設内の映画館の壁に突っ込む事故が起きた。
愛知県知立(ちりゅう)市の和菓子店に10月31日、ワゴン車が突っ込み、客や店員ら12人が負傷した。
同月22日には、兵庫県姫路市のクリーニング店に乗用車が突っ込み、女性店員が軽傷を負った。いずれも70代の男性が運転しており、「アクセルとブレーキを踏み間違えた」などと供述したという。
東京都板橋区で今年1月、83歳の男性が運転する軽乗用車が首都高速道路を逆走し、トラックやトレーラーと次々と衝突して死亡した。
平成22年1月には、江東区の首都高を91歳の男性の乗用車が逆走し、対向の乗用車と衝突。男性は死亡し、相手方の車に乗っていた家族連れも重軽傷を負った。
「ぐるぐる回っているうちに分からなくなり、道を間違えた」といって、70代の男性が大阪市内の阪急京都線の線路を車で走った事件が起きたのは今年7月。
男性は踏切で外へ出ることなく軌道内を走り続け、途中で乗客を乗せた電車とすれ違っていた。
高速道路の逆走は65歳以上が約7割
高速道路各社の調査によると、平成23年から25年にかけて逆走運転と確認された件数は541件で、そのうちの370件(68%)は65歳以上の高齢者ドライバーだったことがわかっていて、しかもそのうちの200件(37%)が認知症の疑いがあったこともわかっています。
地方では車がないと生活が出来ないと言う現状
全国の自動車普及率を見て見ると、栃木県の97.8%。以下、群馬県、富山県、山梨県となっており、一番普及率の低いのは東京都の60.7%、大阪府や神奈川県が続いています。
※イメージは都道府県別統計とランキングで見る県民性さんからお借りしています。
実家に帰れば、おじいちゃん・おばあちゃんが軽トラックを運転している光景はよく見ますよね?
農家じゃなくても、駅までの道のりが遠ければ、しかもバスの本数も少なければ必然的に車移動になりますよね。
事故が怖いけど運転をやめさせることができない?どうすればいい?
もし、自分の親が認知症であるとわかったら、車の運転をやめてもらうように言えるだろうか?
もし、認知症じゃなくても「運転はそろそろ危ないかな」と思ったら、それを言えるだろうか?
正直、頭を抱える問題です。
それでも、世の中は少しずつ動き始めています。
2015年改正道路交通法が成立
以前、改正道路交通法については【6/1スタート!】自転車の危険運転に取り締まり強化!の中でお伝えしました。
この改正道路交通法では、高齢者の免許証の更新についても改正しているんです。
現行法では、75歳以上の高齢者は3年ごとに免許の更新を受けていて、その際に認知機能検査を受けています。そこで以下の項目に当てはまれば免許取り消しとなります。
- 「認知症の恐れ」と判定される。
- 道路逆走や信号無視などの違反を犯している。
- 医師の診察で「認知症」と判断される。
この3つに当てはまって初めて免許取り消しや停止となっていました。しかし、改正道路交通法では以下のように変わります。
- 「認知症の恐れ」と判定される。
- 違反の有無に関わらず、医師の診察を義務付け。
※一定の交通違反を犯したり繰り返したりしている人も臨時に検査し、「認知症の恐れがある」と判断されれば医師の診察の必要が出る。
警視庁によると、平成26年に免許更新の際に認知機能検査を受けた高齢者は約143万8千人。このうち、認知症と診断されて免許の取り消しや停止となったのは356人でした。
今後は、このように免許更新の際に車の運転を諦めることになる高齢者がさらに増えそうです。
地方では車は「生活の足」
地方の場合、「生活の足」として車が使われることが多いですよね。
車がないと買い物にも行けないし、病院にも行けません。家族の送り迎えもできません。
特に病院に通うときなどは、バスやタクシーの利用が不便な場合、車に頼るしかありません。もし車が使えなくなったとしたら、病院にも通うことが難しくなる人がたくさんいるんです。
コミュニティバスや乗り合いタクシー、乗り合いバスなどの利用ができれば車の運転をすることは避けられそうですが、そもそもこのような地域支援がなかったり、あっても通院の時間が合わなかったり、本数が少なかったり、自宅近くまで停留所から遠かったりと、まだまだ改善点が多そうです。
運転免許証を返納することで受けられるメリット
もしも、加齢による身体機能の低下などで運転技術に自信がなくなってきた場合、運転免許証を自主返納することができます。
ただし、免許証を身分証明書代わりに携帯している人もいるでしょう。そんなときには本人の希望により運転経歴証明書の交付(手数料1,000円)を受けることできて、免許証を返納してから5年以内であれば申請が可能です。
免許証を返納することによって受けられるメリットもあります。例えば自動車の普及率の高い栃木県を例に挙げてみると、以下のようなメリットがあります。
- 佐野市・・・佐野市バス・エコ・サポーターズクラブ年会費が新規無料、更新3,000円
- 栃木県全域・・・栃木県タクシー協会、栃木県個人タクシー協会に加入しているタクシーを利用した場合、運賃が1割引
- 宇都宮市・・・「高齢者専用バスカード」「地域内交通乗車券」の交付助成
70歳以上の市民は、高齢福祉課(市役所2階)、保健福祉相談担当(市役所1階)、各地区市民センターなどで5,000円相当のバス・地域内交通の乗車券が年1回、1,000円(一部2,000円)の負担で受け取ることができます。
この他にも、飲食店での割引サービスやデパートでの割引など様々なメリットがありますので、お住まいの各自治体で確認してみましょう。
どうしても車の運転をやめてくれない場合の対処
家族がいくら説得しても聞いてくれない場合、どうしたらいいのでしょうか。考えられる対処法は以下の通りです。
- 車の鍵を隠してしまう。
- 車自体を乗れないように処分してしまう。
- 燃料を空にしておく、バッテリーを外しておく。
- タイヤの空気を抜いておく。
- シルバーカーを勧める。
- ドライブレコーダーを設置する。
もし車を売却しなければいけないなら、1円でも高く買い取ってくれる業者を見つけることができれば、そのお金でさらに認知症の人のフォローに回すことができますので、車査定のサイトなども確認しておきましょう。
車を売却したり、ガソリンを抜いておくことはよく知られていますが、もしも現実的に移動手段が必要なら、シルバーカーの検討もしてみるといいでしょう。
また、認知症と診断されていなくても、運転能力を確認するためや万が一の事故の際に、事故の前後を記録できるドライブレコーダーも検討するといいでしょう。
実際に使ってみたこちら【コムテックZDR-012】がおすすめですので使い方や感想もご覧ください。
早いうちに専門家に相談することも大事
もし、家族の中に認知症を発症した人がいたら、自分1人で抱え込まずに早いうちに専門家に相談しましょう。
公益社団法人認知症の人と家族の会では、フリーダイヤルで電話相談を実施しています。
認知症に関する知識や介護の仕方などなんでもお尋ね下さい。また、介護のグチや悩みを思う存分話して下さい。少しでも心が軽くなり、元気を出してもらえるよう、経験者が丁寧にお聞きします。
0120-294-456
- 土日祝日を除く毎日午前10時~午後3時まで
- 全国どこからでも無料
- 携帯、PHSの場合は075-811-8418(通話有料)
- 研修を受けた介護経験者による相談
- 全国に支部があり支部でも電話相談を実施
もし、認知症とわかって運転していて事故を起こしてしまったら
考えただけでも怖くなります。
先ほどの「高速道路の逆走」の動画にもありましたが、認知症の症状が進行していた場合、運転する人だけでなく第三者も事故に巻き込んでしまう場合があります。
宮崎の交通事故のニュースもそうでした。
もし、自分の親が認知症の疑いがあり、車の運転をしていて事故を起こしてしまった場合、しかも第三者を巻き込んでしまったら、その損害賠償はどうなるのでしょうか?
自動車保険は補償されるのか?
最初に覚えておきたいこととして、2つご紹介します。それは「強制保険」と「任意保険」についてです。
強制保険は「自賠責保険」のこと、そして任意保険は民間の損害保険が販売している「自動車保険」のことを言います。
自賠責保険とは?
まず、最初にこれは知っておきましょう。
自賠責保険に未加入で車で走行した場合、法律により罰せられます。
- 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 免許停止処分(違反点数6点)
自賠責保険は、交通事故による被害者を救済するために、法律に基づき全ての自動車(原付も含まれます)に加入することが義務付けられている強制保険です。
補償される内容は次の通りです。
- 被害者が死亡したとき
最高3000万円 - 被害者がケガをしたとき
最高120万円 - 後遺障害の場合
最高で4000万円※障害の度合い(等級)による
自賠責保険は上でも述べた通り、「被害者の救済」を目的としているため、加害者が認知症とわかって運転していたとしても、自賠責保険の保険金は支払われます。
なので、認知症の有無に関わらず、自賠責保険にはしっかりと加入しておきましょう。
任意の自動車保険は補償してくれるのか?
大手損害保険会社の販売する自動車保険で確認してみました。すると、認知症とわかっていて運転して起こした事故については以下のように定めています。
- 相手への賠償(対人・対物)
補償される。 - ケガの補償
「疾病・心神喪失」に当てはまり、補償対象外とされる可能性がある。
任意の自動車保険に加入していても、自賠責保険に加入していなかった場合の補償はどうなるのか?
「自賠責に加入し忘れてたけど、任意保険に加入してるし、対人・対物は無制限だから大丈夫」
こう思っていたら大間違いです。全然大丈夫じゃありません。
任意保険は、あくまでも強制保険(自賠責保険)を補完する意味合いのものです。自賠責保険では補え切れない部分を任意保険がカバーしてくれるんです。
と言うことは、もし自賠責保険に加入していないで事故を起こして(任意保険には加入)、死亡した被害者の遺族から1億円を請求されたとしたらどうなるのでしょうか?
こうなります。
- 一旦、任意保険から被害者に1億円が支払われる。
- しかし、自賠責保険から本来支払われるべき3000万円は、未加入なので支払われない。
- 任意保険の保険会社が加害者(あなた)に自賠責保険分の3000万円を請求。
このように、ちょっとした手違いなどで自賠責保険に加入していなかった場合、いくら任意保険に加入していても、あなたに損害賠償の莫大な金額がのしかかってくるんです。
そして、あなたに支払い能力がない場合には家族にも迷惑をかけることに繋がります。
自動車保険の補償範囲や補償内容を確認しておきましょう
自動車保険は「夫婦限定」や「家族限定」など、条件を設定することで割引をきかせることができます。
しかし、もし「夫婦限定」なのに認知症の家族が車に乗ってしまったり、実家に帰省したときに運転して事故に遭ってしまったら、これはシャレになりません。
もし、自分の自動車保険の補償内容に不安がある人は、今のうちに「補償範囲」や「補償内容」を確認しておきましょう。
今は昔と違って、保険会社が変われば同じ補償内容でも保険料が変わります。補償を見直すことで毎月の家計にプラスになる可能性もありますので、これをきっかけに補償の確認&見直しをしてみましょう。
車の運転をしていなくても賠償責任が発生する事例も
認知症の場合、車の運転をしていなくても「徘徊」が原因で高額な損害賠償を請求されるケースが発生しています。以下はThe Huffington Post Japanより引用。
愛知県大府市で2007年12月、徘徊症状がある認知症の男性(当時91)が電車にはねられ死亡した事故をめぐり、JR東海が男性の遺族に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が4月24日、名古屋高裁であった。長門栄吉裁判長は、妻(91)のみに約360万円の支払いを命じ、長男には見守る義務はなかったとして、JR東海の請求を棄却した。
鉄道会社は遺族側に振り替え輸送費用や人件費、運休による機会損失、設備の修理費などの名目で損害賠償を請求します。
年間1万人近くの高齢者が徘徊などで行方不明になっており、そのうちの約350人の死亡が確認されています。そして、その中で64人が徘徊していた高齢者だったこともわかっています。
これから、このような事故、そして損害賠償は増加すると予想されています。
あなたの大切な家族が不幸な目に遭わないようにするには、家族どうしの連携、そして地域としての連携が必要になります。
2016年3月1日追記:最高裁判決で「遺族の賠償責任はない」との判決が出ました。
高額な損害賠償には個人賠償責任保険で備える
そして、高額な損害賠償請求に備えるには、個人賠償責任保険で備えるといいでしょう。
個人賠償責任保険は損害保険会社が販売している商品ですが、自動車保険や火災保険に特約として付加することが可能です。
特約の保険料はひと月100円ほどで1億円の補償が得られ、生計を共にしている家族や別居の未婚の子も補償の対象となります。
自分が補償の対象となっているかどうかの確認は、家族が契約している火災保険や自動車保険、傷害保険の保険証券を見れば確認することができます。
また、一部共済の保障にも組み込まれている場合がありますので、「補償の内容がよくわからない」「何がどれだかわからない」と言う人は、プロのFP(ファイナンシャルプランナー)に見てもらって確認してください。
FPである僕がおすすめするのは、保険マンモスが始めた新しいサービス『FPのチカラ』です。
『FPのチカラ』の特長は、何と言っても相談料が無料で、相談する相手を顔写真や経歴・クチコミなどから選ぶことができることです。
詳細については以前の記事「双子ママパパも必見!保険相談のおすすめが変わりました!時代は「FP完全指名型」の保険相談へ!」でまとめていますので、参考にしてみてください。
本当に信頼できるFPは、生命保険だけではなく損害保険の知識にも長けています。プロに相談することによって、あなたが気づいていなかった問題も見つけてくれ、リスク管理と同時に家計の見直しにも繋がります。
最後に
今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!
僕のブログは双子育児のブログなのに、認知症について書こうと思ったのには理由があります。
それは、僕とママの両親は僕らに双子ができたとき、すごく喜んでくれたからなんです。そして、それは今でも変わりません。
色々な面で僕らや1号2号を支えてくれています。これは感謝してもしきれません。
そんなときに目にした、テレビから流れてくる「認知症の高齢者の事故」のニュース。僕は両親と重ねてしまいました。
両親はまだ健在です。でも、もう「いい歳」です。だから心配しちゃうんですよね。
こんな記事もあります。
参考:災害時でも実家の両親を見守る人気のホームセキュリティ5社比較【シニア・高齢者向け】
そうなんです、離れて暮らしているからこそ心配なんです。
特に大きな地震のニュースや交通事故などのニュースがテレビで流れたりすると、実家の両親は大丈夫なのか心配になります。
だから、自分でも確認するために今日の記事をまとめたってのもあるんですよね。でも、それが間接的にでも誰かの役に立てばいいなと思っています。
みなさんのご両親はお元気ですか?
久しぶりにメールじゃなくて、電話でもしてみようかな。
おしまい
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